2008-06-01から1ヶ月間の記事一覧

仕事と人と。

入社して三年目。仕事と人について、少し分かったことがある。 それは10月の少し肌寒い日曜だった。気付けば秋、もうすぐ冬なので、そりゃそうかとスーパーで買い物を済ませた男は、家で鍋を作り始めた。今夜は牡蠣鍋をどうしても食べたかったのだ。台所で…

感謝は、することよりも、されることよりも、上手く還すことが一番難しい。

することは簡単。言葉でも、態度でも、相手の気持ちを考えて何かアクションを起こしていくと、いずれ相手が気付いてくれる。感じてくれる。 されることも簡単。言葉も無く、態度も無くても、ふとした瞬間に、その感謝は返ってくる。されることに、焦りさえ、…

今日はここまで。

お風呂に入る前と後の感覚。ご飯を食べる前と後の感覚。 何かが違っていて、何もそんなに変わっていない感覚の問題。 昨日が今日になる感覚。 誰かを好きになりそうになる、感覚。 今日の私の役目はここまで。あとは明日の私に任せる。 大きなことも小さなこ…

みんなで歳をとっていきたい。

きみと歳をとりたい。お前と歳をとっていきたい。 あなたと歳をとって、自分も同じように生き続けて、それで生きていたいから、死なないで欲しい。 だから、生き続けて欲しい。自分も生き続けるから。 大事にするから、あなたのことも、自分のことも、大事に…

刺激の有る生活

生活は単調で繰り返すものだ。 通い慣れた道、働き慣れた職場。季節が巡れば、路線事故も長期の休みもそこにある。不満は無かった。起きたら眠くなるし、眠ったらいつかは起きた。目的は生き続けること、そう言っても良い。そんな毎日に、男は静かに満足して…

とにかく殺さなくては。

作家は悩んでいた。自作の物語で、最近誰も殺していない。 風鈴の涼しく感じる季節、日差しの届く書斎で、一人の女が原稿用紙に向かい合っていた。女の職業は恐怖を売り物にする小説家である。読者達の普段は隠されている黒いスイッチを見つけ出し、指を押し…

締め切りとどう付き合っていくか。

締め切りと仲良くする方法。 締め切りとは、何かを作る人間に、いつもついてまわる問題である。問題と言ってしまうと、そのままネガティブな存在になってしまうので、なんとか別の呼び名を考える。決して締め切りは問題でもネガティブな存在でも無くて、私た…

「世界は気付かない」について。

このブログに脚本そのものを載せるのは、実は初めて、だったりするのかな? いつもは小説風の形式で物語を書いてますが、リアルの生活ではこういう形式で物語を書いています。もちろん、まだ練習の段階ですが。いつも何か課題が一つあって書いているのですが…

世界は気付かない

人物 糸瀬加奈子(28)海外映画バイヤー 樋口卓也(25)商社社員 ○東中野駅・改札(夜) 糸瀬加奈子(28)が駅員ともめている。 駅員「終電車はもう出てしまいまして」 改札から樋口卓也(25)が出てくる。 加奈子「あ」 一瞬眼が合う卓也と加奈子。 卓也「あ——…

読んだよー、飛浩隆さん「はるかな響き Ein leiser Tone」

http://www.dot-anime.com/tb/a_songs/にて公開中。 相変わらず料理描写が美味そうだ。こういうのを楽しみに読む作家さんの著作って、そんなに多くないので、その辺のテクニックも勉強しなくてはと思った。 ストーリーについては、人類の考えの及ばない外側…

ただいまエコロジー

家に荷物を置いてから、スーパーに牛乳とはちみつを買いにまた出かけた。 その前に家で見たニュースで「ルミネの商業ビル省エネ対策」なるものをやっていて、あぁ世の中じわじわエコロジーの流れになっているんだなぁと思って、家を出た。iPodとたばこと鍵と…

ごめんねアナロジー

「デュエットって、なんだか恥ずかしいよね」 付き合い始めて、初めて二人でカラオケに行った日のことだ。街中のカラオケにいくことになって、部屋についたまではお互い盛り上がっていたんだけど、部屋のドアを閉めてからなんとなく沈黙が始まった。どちらか…

バロンはもういないよ。

その街にバロンがやってきたのは、3年前。 最初に街角でバロンに会った男の子は、とても背の高い人だなぁと驚いた。黒いスーツと長いステッキ、微笑む笑顔と頭をなでてくれる白い手袋。少年はバロンのことを本物の「紳士」なのだと思った。 街中でもバロン…

このまま終わりに

1999年、僕らの夏はいつものように過ぎていた。 代わり映えのしない日常、ただ暑いだけの季節に、僕らはうんざりしていた。一夏の恋も、一夜の蜜夜もないまま、ただだらだらと喫茶店で時間をつぶしてみたり、気まぐれに駅前の店を覗き歩く毎日だった。僕…

大勢の中で

「男は何も生み出さない。できるのは、もらったものを分け与えるくらいだ」 今年で15になる妹が。会話の流れなんて無視して急にそんなことを言い出した。母は思わずほうれん草のおひたしを摘む手を止め、私は思わずおかずのかぼちゃをお味噌汁の中に落とし…

例えば、ブログの使い方として

日々の日記のように使って良いのだろうか? もちろん、書いていることが日記の要素を含まないわけではない。でも、より「脳の記憶」を確かにする為、メモを取るようにブログを使うのはいかがなものか。もう今更言うまでもないくらい、大勢の人がこのことを考…

細切れにされた思い出達に捧ぐ。

群馬に住む友人の作家から、ある日手紙と一冊の本が届いた。 「突然このような手紙を読ませてしまうことを許して欲しい。私には他にこれを読ませられる人が居ないのを、君は分かってくれると信じている。親愛なる××。唯一の友人である××より、敬意と友愛を込…

自分を大切にする必要。

無理をすることと、無理をしてしまうことは違う。 どちらが良いか、今まで間違っていたような気がする。「すること」は、自分で選んで無理をしていて、例えば困っている人がいるとか、何かの目的を達成したいという意志のために、自分から無理をするぞと気持…

あじわいココア。子どもの居ない期間。

四歳になる娘を膝の上で眠らせながら、彼女の話を聞く。 幸せのあり方というような、ひどく抽象的で、でもみんなが知りたがる一つの答えを、彼女は語ってくれた。結局の所、まだまだそれって分からないよねと30代の彼女と私は思うのだけど。 私は30歳を…

久々に。

久々にナンバーガールを聴いたら、やっぱりいい! IGGY POP FAN CLUB と OMOIDE IN MY HEAD。やっぱりかっこいいわ。 あらためてバンドがある内に聴いておかなかったことを悔やむ。そしてライヴに行けなかったことを悔やむ。 解散したバンドのファンになるの…

赤い電車

君住む町へ、ひとっ飛び。 最近なぜかエンドレス。しかし電車は中央線。 くるりの打ち込み系の曲が苦手な人ってたまにいる。 わからなくもないけど、連続するリズムとかメロディーとか、反復する気持ちよさがいいんだけどなぁ。 くるりってそういう気持ちよ…

銀のナイフで切り取るもの

私の父のしていることは、善意なのか、憐れみなのか。 洋食屋のコックをしていた父は、仕事の無理がたたって身体を壊した。病名はスキルス性胃ガン。ガンは思ったよりも身体中を蝕んでいたようで、しかもそれが分かったのは胃を全摘出した後だった。 みるみ…

満たされぬ者たち。

かつて月と太陽が背中合わせで一つだったころ。 西の湖の側に大きな国が栄えていた。王政の元、民は林業と湖の水資源を生業とし、争いも無く静かな時代であった。現在の王が即位して14年、その平和も世継ぎが成長するまで続くかに見えたある日、王が病に倒…

ブレイク・スリー・イヤーズ

「break 3 years !」 そう、軽音楽部の壁には書かれていた。ペンキのような赤い塗料が途切れ途切れ文字を形作り、やけに「!」に力の入った大きな字で。過去、軽音楽部に所属する者は全て、まずその文字からの選別を受けたのであった。あるものはその意味の…

こめかみにじわじわと。

二日酔いのとっても弱いのと、今戦ってます。 せっかく休みなのだし!と飲み過ぎてしまったようで。 このくらいのじわじわした痛みって、説明しにくいんだなぁ……。

一秒の言葉。

「一秒の言葉」 SEIKO http://www.1byou-no-kotoba.jp/index.html 相変わらず、この手の広告が大好きだ。 「本当に時間がかかったもの」の重み。そこに価値を感じる。「一秒の言葉」という詩も、本当に、そうだなぁと思うだけのことなんだけど、新しさなんて…

リズムのあいだに。

一番の不幸は、それに怯えている間のこと。 恐れるものがない時が、一番の恐怖を運んでくる。男はそう信じていた。最悪はいつも予兆なんて見せずに、身体の内側から姿を現す。身体の何処かが腐れていくように、ひどい臭いと濁った血液とが静かに全身へ循環し…

思考逃避。

考えてしまうことから、逃避できないものか。 これを読んでいる誰かや、自分の知っている人達は、頭の中の考え事と、どう付き合っているんだろう。 どうしてもどうしても、考えてしまうこととは、どう一緒に暮らしていけばいいのだろう。 特別なことではなく…

僕は何を憎んで、何を許さないのか。

彼の心には常に四人いる。 一人目の彼は、眼鏡をかけている彼だ。他の三人と協力して考えを練り上げる。彼は彼らの中のリーダーであり、彼の中の主格と呼べる存在だ。他の三人が興味を示さないことについては、主に彼が担当する。しかし、他の三人の誰かが行…

海を泳ぐ二匹の魚。

最初の記憶は二匹の魚だ。 一番古い記憶は両親が旅行で連れて行ったハワイの海の出来事だ。僕はまだ言葉を話すこともままならなかったから、記憶するには「ずっと覚えている」しか方法は無かった。 当時から今まで残っている写真では、姉がホテルのベランダ…