感謝は、することよりも、されることよりも、上手く還すことが一番難しい。

 することは簡単。言葉でも、態度でも、相手の気持ちを考えて何かアクションを起こしていくと、いずれ相手が気付いてくれる。感じてくれる。
 されることも簡単。言葉も無く、態度も無くても、ふとした瞬間に、その感謝は返ってくる。されることに、焦りさえ、しなければ。

 だから、還すことが一番難しい。多ければ好かれてしまうし、少なければ嫌われてしまうかもしれない。「同じくらい」と、する方される方どちらともが思わなければ、関係がギクシャク、複雑、めんどくさくなってしまう。だから、一番難しい。

 小さい頃、感謝することをしつけられ、少し大きくなってから、されることに喜びを感じるようになる。そこまでは簡単にできる。
 上手く還すには、テクニックがいる。知識も経験もどちらもいる。ある意味、特殊な技能だ。
 だから、それが仕事となる。ホテルマンやウェイター、接客に関係するあらゆる仕事の特殊な技能だ。お客様に感謝させすぎず、フィフティーの関係を保つ仕事。技能。

 親しき仲にも礼儀があるように、甘え過ぎても駄目、甘えさせ過ぎても駄目、節度とバランスとけじめを持って、感謝を扱うこと。こりゃ大事だ。