2008-06-01から1ヶ月間の記事一覧

足裏の汚れ。

汚れた足の裏には、自身の欲望の影がある。 俺たちはそれを拭うことができず、絶えず足を擦り付けながら歩き続ける。 立ち、尽くすことしかできない、能無しと呼ばれぬように。

物語のカルテ。

物語にカルテは必要なのか。 物語を支えているものが幾つかあって、ふと思い付くものは「起承転結」「テーマ」「時代性」の三つ。これらは検証の過程であーだこーだと練り上げられる。しかし、練り上げられないものがひとつある。それは「鮮度」だ。 「鮮度…

手ほどきを始めよう。

先生は仰った。「困りごとほど、楽しみなものはない」。 久々に全員がそろったのは、先生の通夜であった。僕はその帰り道、ふと先生との思い出を記憶から掘り出していた。 先生は東京から来た人であった。どうして東京に来たのか、それを聞いても「先生を続…

働く女に、元気をもらう。

よく働く女が、見つかった。 彼女が働くのは、見ていてなぜか気持ちいい。ハツラツとしているし、梅雨の湿り気も何処へやら、だ。歩く一足の間隔も、大きくてよい。それでいてうるさくない所も、大変によいのである。 彼女は前を見ている人である。前を見て…

六月の、うつり、かわり。

「六月は、離ればなれに、どうしてなるの?」 五歳の息子がそう聞いてきた。どうしてだろうね、一緒に考えてみようか。 例えば、帰り道が違うことね。誰だって最初は一緒に帰っても、最後につく家は違うだろう?それぞれの家にお父さんやお母さんや、お姉ち…