まるくない、きみのこと。

 物わかりの良くない君が好きだ。
 君が抱える矛盾が好きだ。君がその眼で世界を見るときに、どうして、なんで、って顔をしている時があって、私はそんな君の表情も、考えていることも、とても愛おしく思う。
 君は傷つき易い。同時に粘り強い。いつだって意思の力で物事を進めようとして、逆に意思の力を受け過ぎて落ち込む。君は、相手の心に共感するんだ。相手の気持ちに、いつだって弱い。
 私はそんな君を甘やかしてやりたい。君の抱える、どうしようもないものごとを、側で見つめたい。君に手間をかけたい。君が嫌いなもの、苦手なものを覚えておいて、それを君に気付かれないように、君の知らない所へ隠してあげたい。
 そうやって君を甘やかしても、君はいずれ大人になるだろう。物わかりの良い、普通の人になってしまう。それでも良い。それでも私は、君を愛していられると思うから。
 だからもう少しだけ、正義感の強い、不器用な君で居て欲しいと思うんだ。
 まるくない、君が好きだ。