時間を手札へと、変えて。

 時間をお金へ取り替えることはできる。でもお金から時間は始まらない。
 生命保険のCMで「愛情をお金で購うことは出来ません けれどお金に愛情をこめることはできます」という名文を聞いたことがありますか。かの有名な谷川俊太郎さんの言葉です。
 なんとシンプルでストレートなメッセージ。一時期本気で広告の仕事に就こうとしていた頃、数々のキャッチコピーの名言を知りましたが、その中でもふと日常で思い出すくらい好きな言葉です。他にもたくさんすばらしい言葉があります。結局広告の仕事には就けませんでしたが、あの頃のすばらしいコピー達との出会いは、自分の財産になりました。

 最初の一文は、たぶん無意識に谷川さんの言葉をイメージしながら出てきたんだと思います。気持ちの混じりこんだ「お金と時間」の関係、そしてそのお金と時間を天秤にかけたり、一つにしようとする「人の視線」。そんなことを自分なりに言葉にしたかったのですが、なんともふつうの言葉です……すごいですね、やっぱり詩の人は。偉大です。

 ふと気付くと、自分はいろんなことに時間を使っている。多くが仕事と睡眠。どちらも一定以下には減らせないものなので、どう付き合っていくかは、実はとても大事。でもどちらもかなりコントロールが難しい部類の行動です。寝ている間は意識なんてできないし、自分の仕事なんて思い付けば思い付く程に広がって収集がつかなくなります。いくらタイムカードや勤務日数を見てもね。生きているなら、未来には仕事が次から次へと待っています。どんな仕事も楽しむことはできるのですから、そんなに怖くないけどね、ふと心配にはなります。
 
 全てのことが、間に時間を挟んで交換されるものだとすれば、時間はある意味、自分の手札のようになります。常に手元には五枚カードが配られていて、ジャックやクイーンを、クローバーの7やスペードのエースを交換しながら、手札を充実させていきます。しかし競う相手が誰でも、カードが五枚ある、としか分からない。誰がどんな手をそろえているかなんて分からない。最後まで。だから勝負になるんでしょうね。

 人生が充実しているかどうかが、勝負という価値観で量って良いものかどうか、それは分かりません。けど、みんなでカード遊びをしているなら、やっぱり一度だけのゲームです、良いカードを揃えてみたいものです。その方が、場も盛り上がりますし。

バイスクル トランプ ライダーバック 青赤(色のご指定はできません)

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 (なんか良いこと書けそうだったけど、やっぱりシンプルにはまとまらない……やっぱり詩人とコピーライターには憧れます)