理屈屋

 結局の所、私は理屈屋だ。
 何をするにも、理屈があることを、良いな、と思っている。
 本当は、簡単に、「一緒に話してるのが楽しい」と言えば良いのに、
 「少し歩きたい」とか「探すの手伝おうか」とか、つまらないことを並べる。
 りくつなんて嫌いだ。 本当のことを話し続けられたら、良いのに。

 でも、本当のことも嫌いだ。そいつがいるせいで、いつも嘘がわるものにされる。
 嘘だって、嫌われたくて一緒にいるんじゃないし。そんなつもりじゃないし。本当は気の良いやつだし。
 嘘は、本当はいつも皆に、優しくしてるんよ。みんな分かってあげて、と私は思う。

 だからしばらくは、理屈とさよなら。嘘、がんばれ。本当、もっとがんばれ。
 理屈はすまし顔で、大人のふりをするから。
 それは何よりも、冷たいことだと思うから。