「たぶんこれだ」を、信じる。
どんな仕事も技術も、長く続けていればそれなりの形にはなる。
慣れと経験を積み上げて、想定できる範囲が広がって、時間が技術を肉体へ変えるからだ。たぶんそれはどの世界でもそうなのだろうと思う。音楽の世界も数学の世界も、販売も開発も、いかに速く泳ぐかも、脚本も同じ。
物事の最初の段階で見通しがつくようになると、無駄な失敗をしなくなる。違うんじゃないかなぁ、こうした方が安定していくのでは、という「たぶんこれだ」が感覚的に分かる。成功率は上がって、何かのタイミングが良ければ、自己ベストを更新するような経験をする。それを引き寄せる、ある種の引力が働き始める。
理性的であろうとして、経験を重ねていって、その先にあるのは、ひらめきや天啓。直感で「良い」と思うもの。そういうものが今まで幾つもの傑作を生み出してきた。
でも、根拠の無いものをどうして信じるんだろうか。そう考える自分もいる。
きっと、ひらめきや天啓を信頼出来る人は、自分を信じているんだ。それまでの自分のこと、今自分が感じている感覚、それらが正しいと信じているから、「たぶんこれだ」を信じられる。同時に、信じた自分を疑わない。そこに時間をかけることを、あまり効果的と感じてないんだと思う。
考えて悩んで苦しんで、うんうん唸って導き出した後じゃなきゃ、いかん。
何を信じてもそれは、単に責任を転嫁したに過ぎないじゃない。適当に身近にあった都合の良いものを、なんとなく自分の信念のように引き寄せて、信条に仕立て上げて、型にはめてみただけじゃない。
私は、自分が信じたくて、今も生きているのかなぁとふと思った。そんな中央線の車内。
*
大久保の街はぶらぶらしてると何か楽しい。やっぱり東京は良い。雑多で街ごとに色が違う。場所ごとに空気が違う。聞こえる言葉も人の顔も違う。もうしばらく、この街で暮らしていたいなぁと思う。
- アーティスト: くるり,岸田繁,佐藤征史
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2001/02/21
- メディア: CD
- クリック: 42回
- この商品を含むブログ (288件) を見る
これを機会に、本棚を片付けよう。