頭で出せない答えは、身体で出せる。

 脳科学的に良いのか悪いのか分からないけど、歩くと調子を上げられる。
 なんとなく、高円寺から家まで歩いて帰った。普段はバスに乗ったりする。随分と遠回りして、でもだらだら歩かないようにして、ふとももに力を入れて歩いた。たまに大きく腕を振った。
 歩きながらくるりの「ハイウェイ」を聞いたりする。旅に出る理由はだいたい100個あったり、何一つ無かったりするんだなぁと、本当に思う。だからくるりは好きだ。呼吸を合わせるのに、余計な力はいらなくて、ただお互いのスピードをとっても近くすることなんだと思う。ゆっくりでも良いんだ。そんな気持ちになる。くるりを聞くと。

ハイウェイ

ハイウェイ

 歩きながら考える。これからの自分のこと。周りの人との関係。身体が歩いていると、その分気持ちが一点に集中していくのが分かる。ぶらついていた細々とした雑念が、砂時計のくびれに流れるさらさらの粒みたいに、静かな音を絶えず鳴らす安定した流れに変わっていく。相変わらず答えは出て来ないけれど、それでも流れが自分の中で循環して地面を踏み、また離れていく感覚。
 気持ちいい。単純に。素直に。純粋に。

 次はRadioheadの「Airbag」。リズムが歩く歩幅やスピードへ変わっていく。昔は少し背伸びして聞いていたような音楽も、長い間聞き続けていると身体になじんでくる。本当に好きな物は、ずっと持ち続けているものなんだなと思う。親友が大事なのも、馬鹿だねーって笑いながら心の中でやっぱこういうの良いなぁ一緒にいると楽しいなぁと思うのも、こういう理由なんだと思う。
 時間がかかって出る答えが、いつもイイモノとは限らないよ、でもたぶんイイモノだよと、若者達に伝えて回りたい。なんかめんどくさい大人になってしまったのかと、ちょっと反省する。

 そうこうしていて家についた。部屋の掃除を少しする。全部はしなかった。完璧さは時に、心を苦しくする。汚れている所もあって、キレイな所もあって、そういうもので、バランスが良いんだと思った。