励ます余裕。

 また人を励ましてしまった。
 励ますというか、もっと適当にやろうよー、好きにやろうよ分かんないもんは分かんないんだから、さ。みたいなことを話しただけなんだけど。自分もそういうことを言われることが、比較的多い方だと思うので、気持ちがよく分かるのだ。そういう気がする。
 結局また彼女はうんうん唸って答えを出そうとしてしまうんだろう。でも、それでも良い。いつかはその唸る感じが緩くなって、氷がちょっとずつ溶けるみたいに角がとれていって、そうして人はまるくなるのかもしれない。

 人を励ましてる時は大抵、自分もあんまり上手くいっていない。というか調子悪い。
 私の調子悪いことはほとんど、原稿が進まないことだ。仕事も人間関係も、そんなに元々上手く無いし、適当っちゃ適当だから、長い間引きずったりしない。気が合う人は、大事にするけど。
 答えは時間が大体解決する。良い答えを求めたり、負け勝負を逆転勝ちしたいと思うのは、欲だ。今はそういう欲にエネルギーを注いでいる余裕は無い。

 
 でもこういう時期を抜ける時って、言葉にできない快感がある。安心感に、全能感。全てに自信を持てて、あらゆることを赦されたような気持ちになる。書けないことは、今まで書けていた、ということなんだ。

 
 つまり、出来ないことが見えるってことは、それまで出来ていたんだってこと。
 ものは言い様とでも言いたいなら、どうぞご自由に。そりゃそうなんだから。お好みで選んだら良い。