「調理場という戦場」

調理場という戦場 ほぼ日ブックス

調理場という戦場 ほぼ日ブックス

一気に読み終えた。こういう本は勇気をもらう。

仕事でもそうでなくても、やっぱり意思が弱くなったり、モチベーションが下がってくる時が必ず有る。そういう気分を回復させるには、まず第一に健康。睡眠と食事、そして両方の質が大切なのだけれど、その毎日の歯車をギアを上げて早く回すには、こういう本が必要だ。
言葉の栄養。一人のシェフの人生を読むこの本には、良質の栄養がつまっている。厳しさにこそ、得るものがあって、その厳しさは毎日、毎食、一瞬にかけるエネルギーの気高さである。鼻にかけるでもなく、一つ一つを成功させ続ける、とても特別で、でも僕たちが普通においしいねと言える毎日の積み重ね。答えはいつもシンプル。だから読んでいていつも元気をもらう。

人はシンプルな答えを求めがちだ。単純化して物事を支配したい。支配は安心だし、確定した物事は自分の一部のように考えられるからだ。自分がそれだけ広がるように思えてしまう。
やはり苦労しても苦悩しても、最後にはシンプルな答えに行き着くのだが、その間があるのと無いのでは、その違いはとてつもなく大きい。本で読む答えは知識でしかないけれど、本当はこれを理解して自分の知恵にまでもっていかなくてはいけないのだ。

感動するのも考えものである。こういうシンプルな答えがいつも心にあって、それに準じて生きていられれば、心動かされることも無いだろうに。弛んだ自分の裏返しのようにも、思えてしまう。

書物を抱えて、今日も空想を広げる。