挨拶からはじまる。

 出会いにはどうやら本当に力があるらしい。
 父と母の間に生まれ、二人に出会い、私の場合は上に姉がひとりいた。それから隣の家の男の子と友達になって、同じ幼稚園で大勢の友達ができた。ふだんは一言も話さないのに家ではおしゃべりな男の子、いつもドレスのような洋服を着てお姫様みたいに思えた女の子。産休で卒園まで一緒に居られなかった先生、身長と体重をはかってくれた眼鏡の先生。小学校は3つ通ったから、とてもここでは書ききれない程の人達と出会っている。もちろん初恋もあったし、一生もんの親友も大勢いる。中学校は部活の先輩と後輩が財産になった。高校になると趣味の違いを楽しめるような、良きライバル達が増えた。大学の友達とはこれから仕事先で出会うことがあると思う、もちろん個性的な人ばかりだから油断していると置いていかれそうだ。そして(こんな言葉は無いけれど、意味は文字の通りの)最愛最友の人にも出会った。今は何処で何をしているのだろう。離れてしまった後は、連絡をとっていない。元気にしていることを願うよ。
 私がこの歳になるまでに、もう随分と多くの人と出会い、別れている。しかしそのどれ一つとも、一度たりとも、挨拶をしなかったことは無い。朝ならおはようと言っただろうし、いただきます、最近どう?、眠くない?、髪形似合うよ、なんか明るくなったね、ありがとう、またね、おやすみなさい。全ての人と、私は挨拶を交わしている。本当に全ての人と。これは少しの疑いも無い真実。
 そのことに、今日は感謝したくなった。なぜだか分からないけど、感謝したいのだ。