物語の終わりはいつも寂しい
うそだらけの物語が
物語である理由を
読者へ誠実に 一回きり語った時に
知ることができる ほんとうのこと
それは
全ての物語は 終わるということ
*
同じ物語が私たちへ語りかけているのに
私たちは分かり合うことなく
いつもばらばらで いつも寂しい
「お前にわかるのか?」 「あんたにわかるの?」
きつくぶつけてやりたいとまで うずく感情のかたまり
それはきっと あなた自身の物語だからだろう
まるで私のことが ただ書かれていたように
眼が離せなくなる
過不足なく 私は私を体験する
最後に私は 私の手で 私の幕をおろす
*
さよなら さよなら ありがとう
もう会えないけど 会わないけど
だから最後は こう言いたいんだ
きみと会えてよかったよ