丸の内でランチ。

 急な誘いで、大学時代の親友(もう一児の母)と食事する。
 残念ながら東京駅は雨だったけれど、傘の合間から顔を出して、出会った瞬間に思わずお互い笑ってしまう。互いの顔が見えた瞬間って、ちょっと恥ずかしいような嬉しいような、なんとも言えないわくわく感がこみ上げる。久しぶりー!でも変わって無い所は変わってないし。安心。少し服の色合いが落ち着いたように思えるのは、新しい職場の影響だろうか。職場の上司が良い人達らしく、娘のことも気遣ってくれて助け合えて、働き易い仕事と言っていた。良い変化が本人の身に付けるものからも伝わってくる。相変わらずテキパキした良い女っぷりに、負けてられん、と気持ちの良い対抗意識が顔を出す。
 今日はOLもお母さんも休みの日!と本人が言っていたので、共通の友達の近況を教え合ったり、来年の2月あたりの旅行の予定を話していて、なんとなく大学の雰囲気。お互い未来のことは分からないけれど、楽しい予定は多くてかまわない。希望や期待は、叶える為よりもただ持つ為だけにあるのかなぁとか思う。こういう話を投げかけてみると「相変わらずめんどくさいねー」とか笑われる。ええ面倒でしょうともー!そういうのも含めて全部楽しい。
 ランチはバゲットの美味しいお店へ。ポトフとサラダを頼み(あと魚料理も選べた)、香ばしくてバリッと千切れてモチモチしたバゲットをスープに浸して食べた。美味しい!ゴロゴロとしたニンジンやジャガイモにスープがよく染み込んでる。食べるとホクホクする。周囲を見渡すと統一感のあるグラスやプレート、壁の色や客席同士の視線の向きとかもきちんと調節してあるっぽい。厨房の近くの席だったので中を少し覗いてみると、小さなスペースに銀色に磨かれた業務用冷蔵庫とステンレスの台があった。汚れた部分なんかは見えない。店員さんもアイコンタクトだけで役割を回していく。素敵だなー、こういうお店で働いてみたいなーと思った。残念なことに私はお洒落なお店になかなか慣れない性質の人間なのだけど……それでもこういう方向性のしっかりした仕事に憧れます。
 駅から歩いて有楽町方面へ。途中ちょこちょこお店に寄り道しながら、少しずつ買い物。途中、彼女はネックレスを選びながら光り過ぎてないか私に何度も確認した。会社へと付けていくのだそうだ。そうして、側にある大きめでアジアンな雰囲気のネックレスを手に取り「こっちの方が好みだわー。落ち着くし」と笑っていた。突然だけど、彼女は大人なんだなぁと思った。当たり前なんだろうけど、大学から知り合って今も親友だと言える彼女が、こうして変化していく瞬間に一緒に居られて、なんて貴重なんだろうと思った。同時に、彼女のことをもっと分かってあげようと思った。彼女自身、彼女本人のことを、感じていることを、一緒に食事をしたいと思ってくれる彼女のことを。親友である彼女のことを。
 家族が文句言うからと彼女は幾つかお土産を買って、でも嬉しそうに、人混みの中を総武線のホームへ向かって帰っていった。今度は、私からおもてなしをしてあげよう。彼女みたいにテキパキとはいかないかも。でも、得意なゆったりとしたおもてなしなら出来るかな。お家でポトフでも作って待っていようかな。
 ありがとね。またね。