完璧な○と歪な丸

 誰かを好きになる度に思うことは、今回はそのどちらだろう? ということ。
 あの人が私からは完璧な存在に見えて、だから好きになってしまったのか。
 あの人は私が側に居てあげたいから、好きになってしまったのか。
 欲しいから好きなのか。あげたいから好きなのか。
 医者であったり、患者であったり。ボールであったり、グローブであったり。
 手を引かれて連れられて歩く時もあって、寒そうだからって手を握ることもあって。
 

 たいていの場合、そのどちらとも、上手くいかない。
 刺激的だからとか、見栄を張りたいからとか、そういう理由でどちらかを選んだりしている訳じゃないのに。
 引きつけられてしまう。考えているその前から、もう始まっている。
 そういう感情なのに。理由なんて無いのに。
 

 きっと「上手くいかないのは、そういう理由があるから」。
 そう思っていたいんだ。まだ。