生態系

生態系という言葉を使えば、生きものと環境の関係を言い表わせた気分になる。
それはいかがなものか。

そこにあるように思う、全体像。それってでも、本当にカタチがあるものなのか?生態系の限界なんてあるのかと聞かれると、確かめようが無いし、そういう理由とは別に、たぶん無い。生態系に関係ない要素、つまり何にも影響を与えない要素なんて無いとすると、言葉によって全体像をイメージするのは、実は少し危険かもしれない。

言葉によって「すべてのこと」や「それ以外のこと」なんかの抽象的なことがイメージしやすいけど、リアルに存在する「確認できること」と「確認できないこと」を言葉に頼りすぎると見失う。

物語を想像することは、言葉の世界に近くなるようなので、想像できて、言葉にもできるけれど、現実に確認できないものを簡単に創作する。それも、さも存在するように。
作家とはたぶん、イメージの世界にしか無いものを、あると言い張っている側の人間だ。愛とか約束とか善悪とか価値とかを、あると言い張っている人間だ。

生態系をイメージする側の人間だということを、肝に命じることにする。過小評価はしないが、湿気に汗ばむ肌の方が、いかに素直か、肝に命じる。