ドラマの隠れた果実。

 短い物語は別として、一時間、二時間、連続ものと呼ばれるドラマ達。
 それらのどこを楽しんでいるかと言えば、それは間の部分、つまり導入部と結論の間だ。どんな人達が舞台の主役になって、どんな答えを導き出すのか。それが物語の全てだけど、そこには説明されない途中経過が9割以上、隠れている。これこそ、ドラマの面白さを濃厚に含んだ実の部分。甘みと旨味の塊であり、過ぎては味わえない、早熟で腐り易い果実。ドラマの中で、その実の育つ過程は、華が開いていくように我々を引きつけながらいつの間にか開いていくもの。華に気を取られていると、その濃厚な実を味わう前に地面へと落ちてしまう。
 「だって華の後に果実が育つはずでしょ」とうかうか待っていると、現実世界のモノ足りない感覚が空腹感をさらに強くする。